2021年9月8日(水)飯塚市議会で「一般質問」に立たれた川上直喜議員に聞きました。
川上議員は今回の一般質問で4つの質問をされましたが、一番最初に質問をされた「新型コロナウイルス感染症対策」についてお話しを聞かせてください。
はい。まず第5波が、いつ、どういう事態になるか分からない状況の中、盆明けに市役所から事実上のクラスター発生という深刻な事態が起こりました。このような状況にあるにもかかわらず国の動きや県の動き、そして市の動きがよく分からない。情報そのものが入ってこないことを大変危惧しています。
私としては、普段の一般質問とは少し違ったんですが、とにかく細部まで聞いて情報を出してもらうことが、市民にとって今一番大事だと思い、今回は現局面のあらゆる情報を出してもらうことを心がけました。少なくとも緊急の課題としてやらなければならないこととして、医療、感染防止ということがあったので、いくつか提案をしたいという思いもありました。
川上議員としては飯塚市のコロナ対策について何が問題で、どうすれば前進するとお考えですか?
先日、あるスーパーの新装リニューアルオープンのチラシを見たんですけど、「限界突破」って書いてありました。私には、飯塚市は「私達ができるのはここまでです」っていう限界を自分で作っているように見えるんです。
確かに、国や県に情報を求めたり保健所の機能強化などの働きかけを行うと、それぞれの役割が決まっているので市でできることをやって下さい、と跳ね返されることはあるかも知れません。議会では、それをそのまま「国の関係上、県の関係上、これが限界です」というように答弁される。限界の中で自分たちは一生懸命頑張っていますって言うわけです。でも同じ条件下でもっとやれている自治体は実際あるんです。
初めてのたたかいというか、感染症とのたたかいの経験、飯塚市として蓄積がほとんどない中で、大変苦労しているのは承知しています。分からないことも多いでしょう。ただ、そのために専門家の話を聞く「行政アドバイザー会議」というのがあるんです。「会議はどれくらいしているんですか?」と聞くと、「最後に行ったのは去年の10月です。日付はよく覚えていません…」との答弁が。その後第3波が来たんですよ。第4波も来たんです。いま第5波の真っ最中ですよ。行政アドバイザー会議はオンラインでもできるじゃないですか。
市内小中学校の教職員と生徒児童約1万人に検査を来年3月まで行うといくらかかるか質問をしたところ、約7億円という答えでした。9月10日に追加議案が出て、高齢者や障がい者の施設とともに、保育所、障がいのある子どものための施設、児童クラブ、学校で行政検査の対象にならなかった大人と子どもが検査を受けられるようになりました。無症状の大人と子どもにPCR検査。症状が疑われる場合に抗原検査のキットを配布することになったんです。
それでもまだ早期発見、保護、治療という太い流れにはならないんですけど、一歩、二歩、足を踏み出したと思います。このような対策は、やろうと思えば去年からできてたと思うんです。
こういう動きは一般質問で議員が扱うことがきっかけで実現されるものもあるんですか?
それは確実にあります。去年と今年、私が3月議会で暮らしを応援する5つの提案をして、昨年6月議会では感染症対策含めて7つの提案をしました。市の貯金を崩してでもやるべきだとはっきり訴えました。市長は、「財政のバランスもとりつつできるだけの支援についてシミュレーションしていきたい」と答弁しました。その後、飯塚市はPCR検査を行う51医療機関に補助金を出すことになりました。
川上議員にとって「一般質問」はどんな場だと考えますか?
一つ目は、市民の要求を市長と議会に、公然と伝える場と考えます。この要求の根底には市民の苦しみ、悲しみ、喜びもあります。
二つ目は市の行為による市民への苦しみの押しつけ、あるいはその根元にこういうのがあるんだということ、市政のおかしいところを暴露する場です。私たちがおかしいおかしいと苦しんでいたら、そういうことだったんだと分かれば、それを改善するために市民は立ち上がれます。
例えば、白旗山(しらはたやま)メガソーラー乱開発問題で考えてみます。いろんな災害が起きるたびに当初福岡県は飯塚市と一緒にこれは大変だ、業者が悪いと言って対応していたんですが、一般質問を通じて実はその業者は福岡県と協議して了承のもとに土砂を置いていたというのが、分かったんです。
この質問で福岡県と業者の馴れ合い、それを見守っている飯塚市という構図が明らかになりました。市民は直接福岡県に事情をただす、行政と業者の緊張関係を高めていく方向で動いていくことになりました。一般質問で暴露したことで、どこに向けて何をすればいいか見えてきたものがあります。
三つ目は提案です。こうしたらいいよ、このように流れを変えていきましょうっていう提案をする場です。例えば学校給食費。家庭の負担を半額ぐらいにしましょうと提案して、必要な予算を聞きくと1億5,000万円かかると。毎年出すのは大変だっていう話になるんです。更に、学校給食法では食材費は親が出すようになってます、との答弁が。
そんな時はこう聞き返すんです。「滋賀県長浜市が、小学校について無料にしてるのは、違反なんですか?」と。他の自治体の実例を示して議論を重ねる。さっきの限界突破ですね。自分で自分の手を縛っている限界なわけだから、自らを解き放てば前に進みます。ただ、ここで大事なのは、財源の問題と、法的な裏づけです。
これらの意味で「一般質問」は、地域住民の声を伝え要求を実現するためにも、とても大切な機会だと考えています。
最後に市民に最も伝えたいことは何ですか?
今回の一般質問の動画を見ていただくと分かると思いますが、新型コロナ感染症対応病床の使用状況について市幹部職員が分からない、と答弁を避けているすぐあとに市長がその詳細を答えるシーンがあります。これらの数字を市長と幹部職員が共有していないはずはないんです。
行政は情報を一切表に出さないこともあれば、都合のいい情報だけを出すこともあります。市民が行政に対して正しい情報を出して欲しいとはっきりと意思表示をし、緊張感をもって対峙しなければ民主主義は維持できません。
むしろコロナ危機の緊急事態の今だからこそ、市民は行政にはっきりと意思を伝える必要があると思います。この機会にぜひ自分の目で議会を見て、感じたことを周りの方とお話ししてみていただければと思います。
川上議員、今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました。
飯塚市議会 令和3年第5回定例会(9月議会一般質問)川上直喜議員
飯塚市議会議員 川上直喜
福祉文教委員会・議会運営委員会
市民と行政が「緊張感を持って対峙しなければ民主主義は維持できない」というコメントが印象に残りました。もっと飯塚市で起きていること、決まろうとしていることにアンテナを張って必要なときは声を上げていきたいと思います。わかりやすく伝えていただきありがとうございました。
行政においてもビジネスにおいても、すべては人と人との信頼関係の上に成り立つものだと思います。
市民が意思表示しなければ、結局のところお任せ政治にならざるを得ないようになってしまいます。
川上先生の記事を多くの方々に読んでいただきたいと思いました。