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  • 執筆者の写真nakao

トリクルダウンの実際を考える

明日10月31日が選挙の投票日となります。

これまで各政党が政策を国民に向けて訴求してきました。

本記事では、今後の経済立て直しで話題となるであろうトリクルダウンについて記述します。

 

アベノミクスのおさらい

まずは過去を振り返ってみましょう。

2012年12月26日に始まった第2次安倍政権において、安倍晋三首相(当時)が表明した「3本の矢」を柱とする経済政策のことをアベノミクスと呼びます。

そもそもアベノミクスって何の造語かというと、「安倍元首相+エコノミクス(経済政策)」を組み合わせて作られた造語です。1980年代にアメリカのロナルド・レーガン元大統領が実施した経済政策「レーガノミクス」のように名前とエコノミクスを合体して作られました。

アベノミクス三本の矢」という言葉はご存知と思います。おさらいすると、


大胆な金融政策

 金融緩和で流通するお金の量を増やし、デフレマインドを払拭する。具体的には2%のインフレ目標が達成できるまで無期限の量的緩和を行う


機動的な財政出動

 約10兆円規模の経済対策予算によって、政府が自ら率先して需要を創出する。例えば東日本大震災からの復興、安全性向上や地域活性化、再生医療の実用化支援などに充てるため、大規模な予算編成を行うなど


民間投資を喚起する成長戦略

 規制緩和等によって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へ。成長産業や雇用の創出を目指す過程で各種規制緩和を実施し、企業の投資=金回りを誘引すること


上記3つでしたね。

大胆な経済政策のため大きな変化が起こった結果、色々と批判はあれど、実績として日経平均株価は政権発足前の8,000円台から政権終盤に3倍ほどまで上がりました。政権は道半ばで終わってしまいましたが、日本経済立て直しのプロセスとしては評価に値する部分はあったのではないでしょうか。


ときにアベノミクスでは経済の好循環をサイクルさせ、持続的な経済成長を試みていました。当然、全国の中小・個人事業主を含めた小規模事業の方も含めてです。そのための経済戦略としてトリクルダウンの実現が注目を集めていました。


 

トリクルダウンとは

トリクルダウン理論・・・富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウン)するという経済理論のこと


トリクルというのは(液体が)ぽたぽた落ちる、という意味を持った言葉です。

シャンパンタワーをイメージしてみてください。

ピラミッド状に作られたタワーの上からシャンパンを注ぐと、上から下へシャンパンが流れていく様子を想像できると思います。

ピラミッドの上から大企業、中小企業、小規模事業者というイメージで、大企業が儲かると大企業未満の組織にもお金が流れていく構造が経済の好循環サイクルで、国内民間企業の業績改善及び活性に繋がると考えられていました。安倍元首相が就任当時「世界一企業が活躍できる国をつくる、企業が潤えば国民も潤う」としていたことは記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。

図中左図のマクロ構造自体は理想で、世界・国内情勢の考慮、企業体質の改善、法の新設・変更がうまく噛み合えば実現可能性はあったと思います。


結果として、異次元緩和を含めた経済政策の効果により、日本の株価は急回復しました。日銀による株売買も活発に行われ、各々分野を突っ走るリーディングカンパニー各社の株価も大きな回復を遂げました。

政府が国民の中間ー低所得層に対してNISAを新設し、メディアを活用して個人資産運用の大切さを訴求し続け、家計に救いの一手を差し伸べました。非課税枠で普段のお給料にプラスαの恩恵を受けた方も多かったことと思います。


しかしながら個人で恩恵を受けたと感じる方は少ないはずです。

実態は外国人投資家に揺さぶられ、大企業は積極的な取引拡大、投資姿勢や人件費にお金を回す傾向に至ることがなく、実態としてピラミッド最上層のみワインが溢れる状態になってしまいました。富を持つものがさらに富んだだけで、国民の大多数を占める中ー低所得層は恩恵を得るに至っていません。総じて、アベノミクスによるトリクルダウン理論の理想的な姿は実現に至っておりません。

ではどうやったらトリクルダウンが実現できるのか、これは安倍政権、菅政権で生じた大きな課題です。

今実際に中ー低所得層が苦しんでいる状態であることに変わりはなく、ゲームのようにリセットして最初、または途中からやり直しなんてことはできません。


 

今後の経済対策で将来が左右される

こうなってしまった以上、現状を踏まえて次の政権ではどのような経済対策を講じるのか、各政党の政策を見て経済戦略が良いと思えるか、実現可能性があるかどうかなどを考慮し投票すると良いかもしれません。

今後の日本経済、同時に国民の生活に多大な影響を与える局面を左右するきっかけが明日の選挙でもあります。国の代表選手として立候補者の誰を支持するのか、一国民として自らの意思を投じましょう。

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