飯塚市統計グラフ Vol.2 産業と観光
更新日:2021年11月24日
Vol.2では産業をメインに統計を可視化します。医療は後日に新型コロナ関連の統計情報と一緒に記載するものとします。
産業の発展はまちの発展に欠かせないものであり、産業が大きくなれば労働人口は増え、税収も増え、と多くは正の比例関係が生じます。
Vol.1で掲載した飯塚市の産業全体の統計において、産業大分類別に見た売上割合の大きさで製造/ 建設業/ 卸売業・小売業が上位を占めていました。
では、製造/ 建設業/ 卸売業・小売業の詳細はどうなっているのかを今回グラフとして可視化していきます。統計情報として何故か建設業のデータが不足しているため、飯塚市の建設業界についてはグラフ化が叶いませんでした。当方のリサーチ不足が原因だと思いますが、産業売上割合の高い建設業でデータが不足しているのは何故なのでしょうね。
製造業の統計グラフ

製造分野の統計を見ると、2008年9月に起こったリーマンショック後の影響よりも、2011年の落ち込みが顕著に表れています。
2011年の年初はリーマンショック後から世界経済の回復傾向にあり、景気持ち直しの機運が高まっていた時期でした。しかし、中東・北アフリカ諸国の民主化デモによる政情不安・原油供給懸念が広がりインフレ懸念が高まりました。日本では東日本大震災と原発事故に伴う電力不足によって景気が悪化しました。時間経過とともにサプライチェーンは回復傾向にありましたが震災復旧の最中に世界経済は減速傾向にあり、おまけに円高のダブルパンチで一時1万円台に乗せていた日経平均株価は再び8,000円台に戻っていたのが2011年です。
(筆者は当時大学院時代で景気悪化とともに就職先の門戸が狭くなっていたこと、2009年からの当時の政権目玉であった事業仕分け(2位じゃダメなんでしょうか)による研究費大幅削減によって、日本の優秀な研究者がコア技術と共に海外へ流出したことを鮮明に覚えています。)


飯塚市は化学工業、食料品製造、プラスチック製品製造、窯業(ようぎょう)、土石製品の製造が多くの割合を占めることが分かります。
小売業の統計
小売業には飲食料品小売業、書籍・文具小売業や衣服・身の回り品小売業、医薬品・化粧品小売業など、多くの業種があります。飯塚は商店街をはじめ小売業が盛んなまちというイメージを持っておりましたが、リーマンショックから東日本大震災の時期に多くの店舗が店を畳んでしまったということなのかもしれません。最後のデータが2016年で終わっていて、近年のデータが無い状況なので現在どのように持ち直しているのかは興味深いところです。


観光業について
アフターコロナ社会で、インバウンド収益を狙った取り組みは今後全国的な盛り上げが期待でき、市町村ごとに様々な作戦が考えられていることと思料します。飯塚はインフラ面が徐々に整いつつある中で盆地という地形的特徴もあって、空飛ぶ車でもない限り海外観光客・本州からの観光客にとって空港・博多駅等ターミナルからのアクセスは良好とは言えません。
飯塚で観光というと旧伊藤伝右衛門邸が思い浮かぶと思います。実際、新型コロナが脅威を及ぼす前はどのような状況だったのか、ここでグラフ化してみます。

こちらは日本人に限定し、飯塚市にどこから流入してきたのかを可視化したものです。
佐賀・大分・熊本・山口・長崎の順となっており、車移動がメインであることがよくわかります。近隣5県の合計で70%をカバーしています。
では、飯塚に足を運ぶ目的は何なのでしょうか。ナビの検索でリサーチしてみます。

1位 旧伊藤伝右衛門邸
2位 かほゴルフクラブ
3位 JR内野カントリークラブ
4位 福岡レイクサイドカントリークラブ
5位 北九州カントリー倶楽部
6位 飯塚市文化会館(コスモスコモン)
と上位にゴルフ場が占有していることが分かります。
検索上位10件の回数をジャンルごとに分けます。
1位 ゴルフクラブ 679回
2位 観光名所(旧伊藤伝右衛門邸、嘉穂劇場) 224回
3位 飯塚市文化会館(コスモスコモン) 99回
4位 ホテル(のがみプレジデントホテル)62回
という結果が得られます。
イベント開催時にコスモスコモンへ多くの県外在住者が訪問してくるのは容易に想像できますが、それを大きく上回る形でゴルフ目的で飯塚に訪問する方が多いということになります。

Googleマップで見てみると、確かにゴルフ場は多いような気がします。
次に外国人を見てみましょう。

韓国・台湾・香港・中国からの訪問者が圧倒しています。訪問者が多いことから、言語対応は韓国語、中国語、英語の順にカバーすれば外国人インバウンドへの対応が適切かというと、それだけでは材料が不十分です。次はどのくらい飯塚市内でお金を消費してくれるかを見ていきます。

訪問者数とは異なり、国別で消費する金額が大きく違ってきます。
一人当たりのクレジットカード消費額を見ていくと、
中華人民共和国 一人当たりの消費金額 617円
アメリカ合衆国 一人当たりの消費金額 3,260円
大韓民国 一人当たりの消費金額 44円
と計算途中で全然参考にならない結果と思いきや、欧州はカード支払い、アジア圏は現金支払いが多いということが分かります。
観光庁の統計をみると、外国人の方々が興味を持つのはショッピング・神社仏閣・食など地域別に目的が異なり、飯塚への訪問目的が何なのかはしっかりと調査すべきかもしれません。それによって外国人インバウンド収益を伸ばす作戦が異なってきます。

こちらは外国人の移動前後の滞在先です。福岡市内もしくは大分、熊本の隣接県移動が大きいことが分かります。なぜ飯塚を目的に観光に来たのか?観光であれば文化財への訪問か、体験か、ここをしっかりと分析することが重要です(外国人のヒアリングレポートはあるのでしょうか)。外国人の目線に立って解決可能な障壁を取り除いていくこと、PRするポイントをずらさないことが市の魅力を引き出す最短ルートと考えます。
飯塚市観光ポータルサイトでは、日本人向けに特化した案内モデルがまとめられており、外国人向けはサイト画面右上のGoogle翻訳で言語変換を行っており、MicrosoftEdge、GoogleChromeの主要ブラウザで画像が表示されない状態となっています。サイト構築はスピード重視だったと推察しますが、観光目的で来た外国人は高確率で公式ポータルを閲覧すると思われ、それがほぼ見れない状態となると、市が外国人に対して魅力を伝えられていないことになると考えられます。課題が明確である分、ここは対策を講じやすい箇所です。
例えば、欧米諸国の方々が観光を目的とする場合、英語をGoogle翻訳に頼るのではなく、文章を直打ちで記述した方が良く、リサーチ結果でモデルコースを独自に提案するなどがあれば飯塚への来訪見込み客増加が期待できそうです。その際に、コミュニケーションツールとして言語変換デバイスを用いるなどの対策を講じれば観光満足度の向上に繋がるかもしれません。
Vol.2は以上です。Vol.3では雇用についての統計グラフを見ていきます。