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  • 執筆者の写真nakao

飯塚市の転入超過数・転出超過数について

更新日:2021年12月14日

多くの地方自治体に共通する課題として、まちの人口減少傾向に対してどのような対策をとっていくのかは地域によって異なります。

以下は飯塚市(左図)と福岡県(右図)の総人口、年少人口、生産年齢人口、老年人口の推移を表したグラフです。グラフは経産省のRESASで作成しています。


統計データが2015年止まりのところもあって7年前の古いデータしかないことは予めご了承ください。各用語をおさらいします。

  • 老年人口割合・・・65歳以上の人口の割合(2025年4月から定年退職年齢)

  • 生産年齢人口割合・・・15歳以上64歳以下(義務教育以降〜64歳まで)

  • 年少人口割合・・・15歳未満の人口の割合(高校生未満)

 福岡県で比較すると、飯塚市は2015年の老年人口割合が高く、年少人口割合、生産年齢人口割合は低い結果が出ています。総人口は2015年と比較して2020年(未実測)に97.5%、2030年に91%、2045年に79.8%になることが推測されています。

 単に人口が2割減る、という面だけでは大したことない印象を受けるかもしれません。注目すべきは年少人口と生産年齢人口の減少です。将来の働き手が大きく減ることは、地域経済を支えてくれていた大人たちを支える負担増を意味するだけに留まりません。あらゆる面で活気減衰の原因となり得ます。理想は年少人口と生産年齢人口の増加カーブが描けていることです。

 地域移住のPR合戦が繰り広げられている理由に地域を盛り上げたい、と一言で集約されていることが多いですが、上記グラフを見ると地域を盛り上げるという言葉の中には多くの意味が込められていることが分かります。

 

 ときに、飯塚市の転入超過数・転出超過数はどのような状況になっているのでしょうか。以下の表をご覧ください。赤枠内が飯塚市に該当する箇所です。

用語をおさらいします。

  • 転入超過数・・・市区町村又は都道府県の転入者数から転出者数を差し引いた数

  • 転出超過数・・・転入超過数がマイナス(ー)となる数

転入・転出ともに県内の移動が多いことが分かります。県外からでは佐賀県からの転入者が多いです。博多区は同じ福岡県ですから、都市圏を除くと佐賀という結果になっています。


表から示唆されること:

・県内では嘉麻市からの転入超過が最も多く、福岡市博多区への転出超過が最も多い。

・県外では佐賀県佐賀市からの転入超過が最も多く、鹿児島県鹿児島市への転出超過が最も多い。

・都道府県別では、佐賀県からの転入超過が最も多く、福岡県への転出超過が最も多い。


 以下は総務省「住民基本台帳人口移動報告」を基に、転入超過数、転出超過数をグラフ化したものです。

上図グラフは全年代のデータを表しています。全年代を見ると、嘉麻市や隣接県からの転入・県内転出が多いことが分かります。ここで生産年齢人口や年少人口に該当する20歳台未満、就職年齢となる20歳代を見てみましょう。

20歳台未満の転入超過数・転出超過数グラフ


 全年代のグラフと内訳が異なります。大学入学で転入・転出とも大きな変化が生じたことが大きな要因と考えられます。こちらは九州工業大学情報工学部キャンパスに所属する学生の出身県別表です。

 平成24年のデータを見ると、近隣県だけで山口県23名、佐賀県15名、長崎県36名、熊本県19名、大分県17名、宮崎県18名、鹿児島県18名と九工大だけで多くの学生が集まっていることが分かります。さすが工業大学の名門、九工大です。


20歳台の転入超過数・転出超過数グラフ


 学校を卒業し、いよいよ社会人生活が始まる20歳台はどうでしょうか。嘉麻市や田川市から転入数は多い一方で、就職により県外や福岡市への転出が多く、450名近い方々が飯塚市から転出していることが分かります。都市圏の方が圧倒的に企業数が多いため、このような結果になります。当然と言えば当然かもしれません。

 生産年齢人口割合を増やしていくためには大きく以下2つの情報発信方法に分類できます。

  1. 全国向けに魅力的なコンテンツを発信する

  2. 県内・隣接県向けに特化したコンテンツを発信する

 感情論を抜きにしてデータのみから省みるに、2.の元から注目度の高い県内者・隣接県向けにPRの比重を置いた方が高い訴求力をもって転入者の獲得効果を得られる可能性があります。新規顧客を獲得するにあたりリード獲得戦略を予め練っておくと、try&errorの効果検証/分析が可能です。

 コンテンツとは便利な言葉で、具体性を持たないことから多用されがちです。何を持って魅力的コンテンツとするかは多くのデータ・環境構築を必要とするため、戦略的アプローチの素材集めが一番難しいと言っても過言ではありません。衣・食・住全てに関わるためです。


 例えば、経済建設委員会が進めている産業振興における沢井製薬株式会社の誘致、ゆめタウン飯塚の開設は工場建設に始まり雇用創出に繋げることができます。有名企業で働くことができる等も魅力的なコンテンツの一つです。

 企業が集まり、定住者が増えて活気づき、税収が潤い、市がより良いまちづくりに活かす好循環を生む仕組みを作るために、市議会議員の方々は一挙手一投足の労を惜しまず動いています。経済建設委員会の動きは飯塚市のコンテンツ作りのベースとなっていると言っても過言ではありません。当ブログ内でも委員会について情報を発信していますので、ぜひ見ていただきたいと思います。


 

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