全国でも珍しい10年65億強の契約は本当に必要なのか?vol.2〜委員会編〜
更新日:2022年2月22日
飯塚市議会は前回行われた2021年12月議会においても様々な議案や請願について厳しくチェックしてきましたが、その中でも今回は多くの議員が本会議・委員会を通して質疑に時間を割いた「飯塚市水道事業会計補正予算(議案第104号)」について、3回に分けてお送りしたいと思います。
第2回目の今回は12月14日に行われた経済建設委員会でのやりとりの模様です。平山議員、鯉川議員、上野議員、光根議員の4議員がするどい質疑を繰り広げています。質問内容としては委託期間を5年から10年にした理由や、10年にするメリット、デメリット。他の自治体との比較、詳しい概算などです。これらの質問に対する飯塚市の答弁を読み取り、私達市民も一緒に考えていきましょう。
それでは、実際のやりとりを御覧ください。
※ここからは飯塚市のホームページに掲載されている実際の議事録のご紹介となります。

【委員長】
「議案第104号 令和3年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)」を議題といたします。
執行部の補足説明を求めます。
【飯塚市】
「議案第104号 令和3年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)」の補足説明をい
たします。補正予算資料の19ページをお願いいたします。収益的収支でございますが、水道事業収益で3399万円増額いたしまして、総額を22億8160万5千円とするものでございます。主なものとしまして、旧有安浄水場施設用地の売却益の増によるものでございます。水道事業費用につきましては、2627万6千円増額いたしまして、総額を23億4309万3千円とするものでございます。
次に、下段の資本的収支でございますが、資本的収入で427万6千円増額いたしまして、総額を10億2608万3千円とするものでございます。主なものとして、水道メーター口径別納付金の増によるものでございます。資本的支出につきましては、1037万6千円減額いたしまして、総額を19億7575万1千円とするものでございます。主なものとしまして、メーター購入費の執行額確定による減でございます。また、債務負担行為で、飯塚市水道施設運転管理及び料金収納等業務委託料につきましては、新たに業務を追加、委託期間を10年間とし、準備期間を含め令和3年度から令和14年度まで、限度額65億5113万8千円を計上いたしております。
以上、「議案第104号」の補足説明を終わります。
【委員長】
次に、さきの本会議において審査要望のあった件の答弁を求めます。
【飯塚市】
令和3年12月10日、本会議の議案質疑時におきまして、審査要望がありました「飯塚市水道施設運転管理及び料金収納等業務委託の債務負担行為限度額が、前回の債務負担行為限度額と比較してかなり増額になっている理由について」、資料を用いてご説明いたします。資料「債務負担行為限度額の設定について」をお願いします。表をご覧ください。平成30年度から令和4年度については、委託期間の途中で消費税が8%から10%に改定されましたので、税抜きの金額で説明をさせていただきます。また、今回は委託期間が10年間となっていますので、前回の分を2倍し、10年に換算した金額を基に説明いたします。前回と今回を比較しますと増額金額に記載していますように、16億4922万円の増額となっています。この金額から今回追加した業務の金額を差し引くと6億425万1千円となります。1年当たりにすると約6千万円の増となっております。主な項目別の上昇率は下段に示しているとおりとなっております。
また、金額の設定は水道施設維持管理等業務委託積算要領や見積りに基づき、積算した結果となっております。
続きまして、「長期継続契約と債務負担行為について」、ご説明いたします。長期継続契約は債務負担行為として議会の議決を得て予算に定めることもなしに締結できるものであり、今回は債務負担行為として事項、期間、限度額を設定しているため、長期継続契約には当たりません。また財政法では、国の債務負担行為は5カ年度以内とするとなっておりますが、地方公共団体については期間の定めはありません。通常、5カ年度以内で債務負担行為が設定されているのは、国に準じているものと思われます。今回、債務負担行為として10年の必要性等を審議していただき、議会の議決を得られれば、問題はないと考えております。
以上で答弁を終わります。
【委員長】
説明が終わりましたので、質疑を許します。質疑はありませんか。

【平山議員】
今、資料はサイドブックスに出てきましたけれど、この委託期間を5年から10年にした理由についても、外見だけ見たら相当金額が上がっているということで、同僚議員の議案質疑の中でもいろいろ質問がありましたので、もう少し詳しく説明をお願いいたします。
【飯塚市】
今回、重要なライフラインである水道施設の運転管理に加え、今回新たに追加する水道管路関連業務は、令和7年度、2名、令和9年度、2名の配置を予定しており、市内の担当地区も順次拡大しながら、適宜に局職員からの引き継ぎ、指導を行い、段階的に移行してまいりたいと考えております。本業務は市内の地理、配管状況に精通する必要があり、特に現場での実務は多岐にわたるため、ノウハウの蓄積による経験が求められます。マニュアル化を進め、体制を整え、局職員からの技術を継承するための期間を考えますと、委託期間を10年とすることにより、安定した質の高いサービスを継続して提供できると考えております。
また、経費の面におきましても、5年ごとに要することとなる初期投資費用を軽減できること、また、本市は水源、浄水場が多く、多種多様であり、それぞれ浄水の処理工程が異なりますことから、10年間の委託とすることで、受託者がさらに業務に精通できるものと考えております。
【平山議員】
今、5年ごとにかかる初期費用を抑えられるとの説明がありましたが、どの程度削減できるのでしょうか。
【飯塚市】
約4千万円削減できるものと考えております。
【平山議員】
それでは、ほかにもこの10年にするメリット、デメリットがあれば、詳しく説明してください。
【飯塚市】
メリットとしまして、先ほどご説明しました新規業務や初期費用の削減のほか、近年、多様化する災害に対する訓練やシミュレーションを深い角度から施工でき、10年分の経験に基づくマニュアルを作成することができると考えております。また、浄水場で使用します各種ポンプ設備は耐用年数が20年、更新から10年程度でオーバーホールが必要であり、委託を10年間とし、委託業者がしっかりと点検管理することで、適切な時期にオーバーホールを行い、設備の延命化を図ることができます。デメリットとしましては、契約期間中に人件費や資材費が大きく変動する可能性があること。また、今回追加しました薬品購入について、異常気象により影響を受ける可能性もありますが、今回、仕様書の中で業務締結後、経済情勢の著しい変化等により業務委託費が不適当となった場合、双方協議の上で決定できることとしております。
【平山議員】
今の説明を聞いたら、今回の委託料は人件費や資材費の上昇等で増加したとのことですが、来年1月からまた水道料金が上がります。委託に伴い、この10年間の中でまた水道料金を改定するようなことにはならないのですか。お答えをお願いします。
【飯塚市】
今回の飯塚市水道施設運転管理及び料金収納等業務委託につきましては、経営戦略を策定します際に試算しました財政シミュレーションに物価上昇等を加味して織り込んでおります。そのため、今回の委託が直接料金に影響することはございません。また、初期投資を抑え、少しでもコストを削減することで、水道事業の経営安定につながるものと考えております。
【平山議員】
それでは今、いろいろ説明を聞きました。今回の債務負担行為の委託業務について、新たに追加される業務の内容や、その必要性並びに委託期間を10年とする必要性などについても十分説明をいただき、安定した質の高いサービスを継続して提供するために必要であるということについては、一定の理解をすることができました。
委託期間を10年とすることは企業局にとっても初の試みになると思います。今後、委託業者と連携し、新たに追加する業務を含めしっかりと管理監督を行うこと。また、企業局として老朽化した水道施設の更新、耐震化にしっかりと取り組んでもらいたいと思います。今後もそうした取組の中で安心、安全な水づくりを行っていただくことを要望して、私の質問を終わります。
【委員長】
ほかに質疑はありませんか。

【鯉川議員】
本会議場でこの債務負担行為について、同僚議員がかなり長時間、質問されていましたので、1点だけ確認させていただきたいのですが、今も同僚議員が質問されましたので、ちょっとかぶる部分もあるかと思いますけれども。まず、債務負担行為の期間ですけれども、今まで5年だったのが、何で今回10年になっているのかという点でございます。近くの自治体がどうなっているのかということで、私自身調べてみました。そうすると隣の直方市が3年で2億6千万円でプロポーザルの公募をやっております。その直方市を含めて、福岡県内他市町村の状況はどのようになっておりますでしょうか。
【飯塚市】
正式に調査したわけではありませんが、インターネット等で調べた結果ですけれども、大体が5年で、10年のところはありません。
【鯉川議員】
私もいろいろと見てみたのですけれども、ほかの自治体は国の債務負担行為の原則と同様で5年以内でやっているみたいですが、そもそも国はなぜ債務負担行為は原則5年としているのでしょうか。
【飯塚市】
国の債務負担行為につきましては、債務負担行為の権限は認められておりますが、後に改めて当該年度の歳出予算を組まなければ、実際の支出は行うことはできません。そのため、長期間にわたり国による債務負担を認めてしまうと、その後の財政需要等の変化に対応できず、財政の硬直化を招く恐れがあるとの考え方があるからだと思われます。
【鯉川議員】
今、財政の硬直化と言われましたが、私もそのとおりだと思っております。また、一旦国庫債務負担行為として議決されると、その後の各年度の歳出に関して議論する意味合いが薄れまして、国会審議が空洞しかねない。つまり、国庫債務負担行為は実質的に後年度の支出を拘束することになるので、財政民主主義の空洞化が懸念されるからではないかと思っております。飯塚市には国の原則やほかの自治体と違う10年にする特別な理由、これは先ほど局長のほうが答えられましたけれども、10年間にすることによって、ノウハウを取得して習熟することができると言われましたし、また、5年ごとに要する初期費用の面からも、これは軽減できるというようなことを答弁されておりました。私自身、先ほど答弁されたことというのは特別な理由に当たらないと思っております。今回、追加する新しい業務に習熟が必要と言われましたが、現在は市の職員が担当しており、人事異動もある中で業務をされております。そう考えますと問題はないと考えますし、また、前回の委託業者データベースから現在の委託業者KESに変わったときに働いていた方々で、希望される方というのは全員雇用されたと聞いておりますけれども、間違いありませんでしょうか。
【飯塚市】
希望された方は全員雇用されております。
前回、データーベースからKESに変わるとき、4人の方が退職をされています。3名の方につきましては高齢が理由と、1人の方につきましては勤務シフトの関係で難しいということで退職をされております。
【鯉川議員】
大半の方がそのまま継続で働かれたということです。そうであるなら、なおさらのこと習熟についても問題はないと考えます。また、経費削減は他市も同じことであると思います。でも、5年しか他市はやられていません。特別な理由には、私はならないと思います。この理由がもし成り立つのであるならば、現在、市が発注しております契約のほとんどが10年、または20年で契約したほうが軽減できるということになるから、長期契約を10年、20年とされたほうがいいのではないかと思いますが、その点についてはどう思われますか。
【飯塚市】
先ほど述べました、水道管路の維持管理業務、これにつきましては確かに市職員の異動というのもありますが、異動しても、それなりの期間、習熟に時間を要しています。といいますのが、やはり市内の配管状況とか、漏水の多発箇所、そういうところについても仕事をやっていく中で習熟していくと。それから市内の地理、電話等でどこに行ってくれ、どこで漏水があっているという場合に即座に動けるような体制、そういうことに関しても、やはりそれなりの習熟する時間が、それから修繕の中身につきましても、現場で漏水を修繕する中で、どういう修繕のやり方がいいのかとか、後バルブ操作、それから赤水の洗管処理、そういうことに関してもある程度習熟期間が必要かとは思っております。
【鯉川議員】
習熟度、ノウハウについては、見解の相違で私はそうは思っておりません。今、私が聞いた軽減できるという件で、これを認めてしまうと飯塚市の全てがなし崩しになって、今後、それこそ10年、20年のほうがいいのではないかという形になっていくと思うのですけれども、その点はどう思われますか。
【飯塚市】
他の委託業務等に影響があるということのお尋ねと受け止めておりますが、それぞれの委託については、委託業務の中身、内容によって、どの年数が適当かということが判断されるというふうに考えております。今回、企業局のほうで提案させていただきました、この浄水場の運転管理と料金収納の業務の委託については、新たに追加する業務も含めて、習熟度は見解が違うということでしたが、私どものほうは習熟が必要と、習