令和4年第4回定例会(9月議会)で江口徹議員が生活環境の保全について、川上直喜議員が土砂災害の危険性、当面の安全対策について一般質問を行いました(江口議員は9日、川上議員は13日に実施)。
2022/9/9 6:00 (2022/9/12 10:01 更新)の西日本新聞の記事でもピックアップされています。Yahoo!にもトピックとして記事掲載されており、もはや飯塚市というスケールを越えて、全国から注目を集めています。
記事中でパネルの設置状況を空撮写真で確認できます
長期化することで問題が複雑化していますが、シンプルに以下の項目がどうなのかが気になります。スパッと答えることのできる方はいるのか疑問です。
メガソーラー開発を必要とする理由は?
環境面
経済面
建設地の選定で白旗山が適切と判断した理由は?
地形リスクの観点
安全面の観点
人的リスクの観点
発電以外のメリットは何か?
環境面
経済面
住民へのインセンティブ設計、市への利益還流の仕組みはあるのか?
企業が撤退したらどうするの?
メガソーラー自体は大規模な太陽光発電装置ということで、要は家の屋根に貼っているパネルの巨大バージョンみたいなものです。太陽光パネルの製造時に二酸化炭素を排出し、運用時は排出が少ない特徴を有します。ちなみに、IEA(国際エネルギー機関)によれば、太陽光パネルの主要製造段階での中国のシェアが8割を超えているとの報告があり、そのうち半分が新疆ウイグル自治区産です。
太陽光発電がクリーンと言われる所以は二酸化炭素排出量の少なさ=温室効果ガスの削減にあります。ここで豆知識です。温室効果ガスは二酸化炭素だけではありません。二酸化炭素の他にメタンガス、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります。特にメタンガスは二酸化炭素に次いで地球温暖化に貢献しているかもしれないと言われていますが、メタンガス排出の半分以上が、化石燃料の使用、牛などの反芻動物、水田、埋立等の人間活動によるもので、生活を豊かにする要素が大き過ぎるためかほとんど言及されません。
一方、二酸化炭素は地球温暖化の原因である、と断言する方がちらほらいます。正しくは”原因と考えられる”が正解。飽くまで現状揃っているデータを総合的に分析して導き出された予想ですので、現代人の知識では何が原因なのか未だ解明できていません。証明できる方は論文執筆を推奨します。
【追記】
今から約7,000年前、縄文時代は今より気温が2〜3℃高く、海面は3〜5m高かったと考えられています。東京の多くが海に沈んでいた時代です。つまり、人類による温室効果ガスだけが温暖化の要因とは言えず、自然サイクルによる影響も考えられるため一概に原因を特定しにくいことが背景にあります。
脱線して失礼しました。さて、話は戻ります。
上記質問事項1~4は開発計画時に即答しなければならない程度のものです。もしかすると既に答えてくれている方がいるかもしれませんが、未だモヤモヤした状態で良く分かりません。何よりどの自治体でも軽視されているのが”山”という自然の産物から受けている恩恵です。傾斜のある土地で安全に暮らせていたのは何故だと思いますか?運用開始から数年程度ならまだしも、20年以上の長期運用を行った場合、何が想定されるでしょうか。答えはとても簡単ですよね。
色々とツッコミどころの多い白旗山のソーラーパネル問題。一つだけ確かなことが言えます。それは、民間企業が運営しているという点。民間企業は営利を求めて活動します。つまり、儲けを出すためにソーラーパネルを運用する、ということ。飯塚市の地域発展に貢献したい、とか地域住民の皆さんにより快適な生活をして欲しいから、とか正直全く関係ありません。経営する会社が儲かるかどうかです。調査して儲かると判断できれば、現地のコンサルとパートナー結んで、お金使ってKOL捕まえて、協議・交渉の場では一時的にでも実質的なイニシアチブ取れるようにしますよね。分かりやすい戦略ですが、もしかすると白旗山もそうなのでしょうか。
黒字を出せる間は運用する、出せなくなったら売却機会を見てサヨナラする。とてもシンプルです。公的事業でもない限り、そうなる可能性があることは誰でも分かるため、開発が進む傍らで住民説明会すらない状態では地域の方の不安や怒り、不満が募るのは当然でしょう。
くどいようですが企業にとっては儲かるかどうかですので、文化、歴史、そこに暮らす人々の事情は利益と無縁なためあまり考慮されません。それもビジネスです。見方を変えて雇用の創出は期待できるのか?いえ、できません。太陽光発電は省人化が売りですから。
企業からすれば、地元民にワーワー言われても、事業計画内容をチェックして許可したの行政なんだから文句言うのは違くない?となります。メガソーラーの事業主に制度設計上の非が無いのなら尚更です。無論、そこに問題があれば厳しく追及されるべきです。
故に、なぜ最初にそれを許したのだ!行政何やってんの?ちゃんとしたプロセス踏んだの?という議論が議会で発生します。事業者が県や市から許可を得るプロセスに問題はなかったのか、地域住民の合意は取れていたのか等の事実確認から、現在早急に解決しなければならない問題の洗い出し、第二の白旗山を出さないための解決策(規制条例等)の提案などを行っているのです。プライドなんか捨てて、行政は
市の対応は全く問題が無い(又はあった)!原因は〇〇だ。
だから△△までに□□をやる!
と真摯な姿勢で回答すれば良いのに、なぜ何年もグダグダな答弁が続くのでしょうか。この市はリーダー不在なのでしょうか。市民の暮らし・安全に関わる重要な課題に対し、市は請願が出されたのかどうかすら即答できず、市・まちづくり協議会・住民間の認識齟齬も激しい状態です。飯塚市の行政がどれほど本気か分かりませんが、もし一般質問の質疑応答の中で突破口となるヒントを得ることができるのであれば、ソーラーパネル直下で長年不安に暮らしている市民を”なるべく早く”救って頂きたいと願うばかりです。
ときに一般質問の中で市長から「信頼関係」という言葉が出ました。信頼関係の構築は長期的で難しく、壊れるのは一瞬です。江口議員、川上議員の質疑に対して●●したいと思う、など断言を避けた感想を述べるに留まる状態が続く限り、行動への約束が含まれていないこともあって信頼関係の再構築姿勢は今後も見られないのではないでしょうか。(今更であってもタスクフォースの立ち上げくらいやればいいのにと思ってしまいます。仮に市長や市の担当者のキャパシティーが限界であっても、やりようはいくらでもあるのですから。)
メガソーラー周辺の住民にとっては至急解決策の実行を要する状況の中、雨風しのいで駄弁って時間を浪費している場合ではありません。県との調整が必要なのかもしれませんが、市長や市の担当者であれば、中学校のときに習ったであろう5W1Hを明言すべきでしょう。
明らかに崩壊しているであろう信頼をどう取り戻すのか、
いつ
誰が
どこで
何を
行動するのか、今後の動きに注目していきたいと思います。
今回のキーワード:紳士協定
ジェントルに約束しようぜ、という印象を受ける用語です。直感的なニュアンスのままで、公式に契約を交わさずに”信頼関係で約束する”ことを意味します。故に、それを破ったとして法的拘束力はありません(内容に依りますが)。どうやって信頼関係を成立させるかがポイントです。お互いが利益を享受できて握手(合意)できるものが多くを占めます。つまり、一方にメリットが偏る場合は協定なんか結ばないのです。そりゃそうですよね。
契約ありきで活動するビジネスの世界では考えられないと思います。しかし、議会を見ると分かるように、白旗山メガソーラー建設の件では存在していました。ノーバルソーラーが幸袋町の賛助会員となった当時、まちづくり協議会の会則には定められていない800万円の金銭授与が発生した同タイミングで飯塚市と紳士協定を結んでいます。内容は日程調整などとのことです。日程調整なら電話やメールで済みますし、それを目的として紳士協定を結ぶという発想自体が意味不明な訳です。800万円を受け取った真意は何だったのでしょうね。どんな記述があったのか気になります。市が公式な契約を交わさず、一民間企業と法的効力の及ばない約束事(紳士協定)を交わすことはOKなのかも気になりますね。
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