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  • 執筆者の写真tasuke

36億円かけてのオートレース場メインスタンド建替え計画ご存じですか?

更新日:2021年11月16日

2021年9月8日(水)飯塚市議会で「一般質問」に立たれた江口徹(とおる)議員に聞きました。

今回の一般質問に「コロナ対策」と「オートレース場立て替え」を選んだ理由を教えて下さい。


まず、コロナ対策についてですけど、コロナが広がり今日までの間に人々の生活はガラッと変わりました。この間、学校の休校から始まり、様々な公共施設が休館するなどの決定がなされてきましたが、ちょっと考えなくちゃいけないと思ったんです。


確かに、条例などで公共施設の閉館について書いてはあるんですが、その条例文には今回のようなコロナの状況は想定されていません。休館など大きな決定をする前には、もう少し周りの意見に耳を傾ける必要があると思い質問しました。


実際、今回飯塚市では図書館が休館しましたが、本を読みたい方、見たい方、の一方で仕事の上で調べ物がある方もいらっしゃる。図書館は町の産業を支える一面もあるんです。そういった視点からも今回のコロナ対策について十分に考えられていたのか確認するために質問しました。


では「オートレース場建て替え」について教えて下さい。


はい。この問題は6月議会でも取り上げたんですが、オートレース場というのはそもそも飯塚市にとってお金を稼ぐための施設のはずなんですが、ここ20年ずっと稼げていなくて、これから先も怪しい。そんなオートレース場の建て替えに36億円をかけるのが本当に必要なんでしょうか。このままでは本当にオートレースって続けて良いの?ということにすらなりかねない。


「一回立ち止まって考える必要があるのでは」と取り上げたのが6月議会で、それから3ヶ月経ってどういう風に役所として考えましたかというのが今回聞きたかったことです。


正確には「オートレース場のメインスタンドの建て替え」ということですが、初めて知る方も多いと思うので、何を問題視しているのか簡単に経緯を教えて頂いてもいいですか?


はい。そもそも飯塚市でオートレースがスタートしたのが昭和30年代だったと思います。それこそ今、体育館の工事をしている陸上競技場、あそこにオートレース場はあったんです。当時はダートのコースだったようですが、それが昭和40年代に今の場所に移ってきました。



元々お金を稼ぐ目的で始めた施設で、たしかに初期の頃は非常にお金を稼いでくれていました。今までの累計でざっと600億弱くらい、市の財政にプラスになっていると思います。平成9年まではずっと稼いでくれていたので、そのお金が市内の小中学校の建て替えの費用にも使われたとも聞いています。


しかし、残念なことに平成10年以降は市にお金を入れていない。ここ20年以上は当初の目的である「お金を稼ぐ」が果たせていないのが現実なんです。そんなオートレース場に、今36億という税金を使って立て替えをしたいということを飯塚市が提示してきたんです。


それが、いま本当にやるべきことなのかと思うんです。確かに建物は50年近く経って、古くなったことで耐震対策を考えないといけないことは理解しています。ただ、その解決策が建て替え一択というのは違うのでは無いかというのが私の見解です。


平成10年以降ずっと赤字だったオートレースは今から数年前に民間会社に運営をお願いすることにしました。それから収支は黒字へと変わり、そのおかげで一時は17億円ほどあった累積赤字は少しずつ減ってきています。あと数年で赤字を全て解消できるというこの段階で、また巨額な税金を投じて立て替えをする決断は本当に正しいのでしょうか。


一般質問の中でランニングコストの話が出ていましたが、詳しく教えて頂けますか?


今、オートレース場の年間の維持費が約1900万円ほどかかっていて、建て替えを行うと年間588万円程度に下がるといわれています。トータル年間1300万円ほど下がるので、ココだけ聞くといいように思えるんですが、冷静に考えてみて下さい。


建て替えた事によって得られるランニングコストの差額は10年間で1億3000万円、20年間で2億6000万円です。いま飯塚市は36億円かけてオートレース場を改修しようとしているんです。差額が36億円に達するまでにいったい何年かかるんでしょうか。


仮に36億円使っても、収支として40億、50億見込めるというのなら前向きに考えることもできますが、現実は違います。現在のオートレースの売上の割合を見ても、会場での売上は全体の1割程度で残りの9割は場外やネットでの売上というのが現実です。その1割の売上しか上げていない会場に36億円投資する根拠は何でしょう?


【飯塚オートレースの車券売上と利用者数】H28〜R2

オフィシャル:オートレースの元締めであるJKAが運営

民間ポータル:オッズパークやウィンチケットなど民間の会社が運営

※表、グラフは飯塚市資料より江口作成


市の職員からの説明の中で今から計画を立ち止まると多くの業者や他のオートレース場に迷惑がかかるというお話しもありましたが、この点はどうお考えですか?


それに関しては、そんなに問題ではないと思っています。業者については今進めているプロポーザルについて市がしっかりと説明をすれば大丈夫ですし、スタンドの建て替え自体は一時ストップするけど、番組編成とかレースのスケジュールには全く触れないで出来ると思います。工夫次第でいくらでもやりようはあります。


オートレースファンの方は今回の件についてどういう反応ですか?


オートレース好きな方からもご意見を頂くんですけど、なるほどと思った意見があります。それは「メインスタンド綺麗じゃなくてもいいよ。それよりもレースを続けてほしい」という声です。他にも、変に借金を背負って、立ちゆかなくなって、レースを辞めるということにならないで欲しい。なんでこんな状態にしてまでレースを続けないといけないんだとならないようにして欲しい。最低でも今の環境を残してもらえるとありがたい。などの声も聞こえて来ます。


例えば船橋市のように、実際に財政上の理由でレース場を辞めてしまった例もあるんです。レースファンはこのようなことも知っているので、無くなることの方が怖い、というの声が多いのだと思います。本当のファンはメインスタンドが綺麗になるよりもレースを続けたい、何とか残して欲しいというのが正直な気持ちなのでしょう。


江口議員がオートレース場の建て替えを問題視する理由を改めて教えて下さい。


もう一度考えて欲しいんです。冷徹ないい方かもしれませんが、オートレースは飯塚市にとって「お金を稼ぐ手段」なんです。稼がないオートレースであるならば、存在意義は「ない」とも言えます。オートレースというのはギャンブルでもあるので、依存症という問題もあるんです。そういったことを考えると、そのマイナスを補って余りあるプラスがないと続けてはいけないと私は考えます。


江口議員、今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました。



飯塚市議会 令和3年第5回定例会(9月議会一般質問)江口徹議員


飯塚市議会 令和3年第4回定例会(6月議会一般質問)江口徹議員



飯塚市議会議員 江口徹

福祉文教委員会・議会運営委員会


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