2021年9月7日(火)飯塚市議会で「一般質問」に立たれた道祖満議員に聞きました。
道祖議員は今回「二酸化炭素削減問題と廃棄物処理施設整備計画について」質問されましたが、このテーマを選んだ理由を教えてください。
飯塚市は、国が推し進めていこうとしている「脱炭素先行地域」にエントリーして、CO2削減、脱炭素社会を目指してく必要があると考えています。そのために何ができるかを「一般質問」の場を借りて、皆さんと一緒に考えていこうと思いこのテーマを選びました。
国が進めている「脱炭素先行地域」とは何ですか?
政府は今年6月に、地方からはじまる次の時代への移行戦略として「地域脱炭素ロードマップ」を発表しました。その中で2050年までにCO2排出量を正味ゼロ、2030年度においては2013年度比46%削減を目指すと明記していて、2025年までに全国100ヶ所に「脱炭素先行地域」をつくり集中的に脱炭素社会への取り組みを進めると謳っているんです。地域脱炭素ロードマップの重要メッセージとして「地域脱炭素は、地域課題を解決し、地域の魅力と質を向上させる地方創生に貢献する」とあります。具体的には
一人ひとりが主体となって、今ある技術で取り組める
再エネなどの地域資源を最大限に活用することで実現できる
地域の経済活性化、地域課題の解決に貢献できる
なんです。私は飯塚市こそ、この「脱炭素先行地域」にエントリーしてCO2削減、脱炭素社会を目指していくことが必要だと考えています。
「国・地方脱炭素実現会議」地域脱炭素ロードマップ(参考)
廃棄物処理施設整備計画についてはどのような関係があるんですか?
飯塚市は現在、嘉麻市、桂川町、小竹町と共に「ふくおか県央環境広域施設組合」を運営しているんですが、今後ごみ処理施設の集約化に向けた動きがあるんです。各施設の運用年数が20年を超え老朽化が進んでいることや、大牟田リサイクル発電とのRDF搬入の契約が令和5年3月もって終了することなどを総合的に判断して、現在4施設での稼働を再編することで飯塚市クリーンセンターと桂苑の2施設で行う方針が決まりました。
ちなみに、この決定で皆さんの生活にも嬉しい影響があったんですよ。それはゴミ袋の値下げです。例えば来年の4月から飯塚市の家庭用のゴミ袋(大)1枚70円が50円に値下がりします。施設の数が再編されたことで経費が抑えられたことが理由です。
また再編後の2施設も老朽化が進行していることから令和12年以降の開設を目指す新たな清掃工場を建設する方針が決まり、今後建設用地の選定を進めていくことが決まっています。
そこで、先程お話した「政府発表の2050年までにCO2排出量を正味ゼロ、2030年度においては2013年度比46%削減」というところを思い出してください。令和12年以降の開設を目指す新たな清掃工場に、どのようなCO2排出量の性能を求めるか、自ずと答えは出てくるのではないでしょうか。2050年といえば令和32年です。新しくできる清掃工場は当然20年以上は稼働してもらう必要がありますので、建設段階で2050年の基準をクリアしておく必要が出てくるということになるのです。その基準とはCO2の排出量ゼロということになり、したがって、飯塚市に新しく作る清掃工場にはCO2の排出量ゼロが求められるということになるのです。
今回の質問の行政とのやり取りの中で手応えはありましたか?
今回質問をすることで、様々なポイントを行政に問いました。そこで、飯塚市の理解度や考えを知ることができました。廃棄物処理施設整備計画については、広域施設組合で行うことですが、ここには2市2町が関係してきます。しっかりと各自治体が、国が示した方針に基づくかたちで進んでいかないと、足並みが揃わないことがあるんです。ここは飯塚市がリーダーシップを発揮して2市2町を引っ張っていってもらいたい、という気持ちで質問をしました。手応えはあったと思います。
今回の質問を通じて市民に伝えたいことはありすか?
飯塚市が「脱炭素先行地域」にエントリーするためには市民の理解と協力が必要です。生活の中からCO2の排出を減らす行動や、ごみの分別など市民ひとりひとりの意識を高めるためにも、政府の動きや飯塚市の動きを議会を通じて伝えいきたいと思います。ぜひ、議会だよりや市報、動画なので実際のやりとりをご覧になっていただければと思います。
飯塚市には近畿大学産業理工学部があります。近畿大学ではバイオコークの研究が進んでいて、化石燃料の代替燃料としてバイオコークスを利用することによって、新廃棄物処理施設を活用する脱炭素先行づくりに取り組むことができるのではないかと期待が集まっています。大学の知恵をかり、民間企業の知恵を借り、金融機関等に協力をいただき、いろいろな関係者と連携をとって進めていくことが大切だと思います。行政だけで考えるのではなくて、多くの皆様と意見交換をしながらCO2削減、脱炭素社会を目指していければと思っています。
道祖議員、今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました。
飯塚市議会 令和3年第5回定例会(9月議会一般質問)道祖満議員
飯塚市議会議員 道祖満
経済建設委員会
>>新しくできる清掃工場は当然20年以上は稼働してもらう必要がありますので、建設段階で2050年の基準をクリアしておく必要が出てくるということになるのです。 この視点はとても重要だと思いました。
世界(先進国)の認識 > 国の目標 > 自治体の目標と解決策など、何となくでも全体像を掴めると、新しい清掃工場に求められていることが理解できる気がします。そして、今まさにホットな領域だと思います。 大手企業と自治体清掃工場とのタッグで、二酸化炭素回収利用技術の実証実験に関するプレスをよく見かけます。CO2可視化に伴うデータ分析技術も注目を集めていますね。
自治体に課せられた目標達成に向けて、可能な範囲でできることを新しい清掃工場に実装でき、全国の自治体に対するロールモデルにできたらいいなと思いました。