全国でも珍しい10年65億強の契約は本当に必要なのか?vol.3〜最終日編〜
更新日:2022年2月22日
飯塚市議会は前回行われた2021年12月議会においても様々な議案や請願について厳しくチェックしてきましたが、その中でも今回は多くの議員が本会議・委員会を通して質疑討論に時間を割いた「飯塚市水道事業会計補正予算(議案第104号)」について、3回に分けてお送りしたいと思います。
第3回目の今回は12月17日に行われた定例会最終日の模様です。福永議員が経済建設委員会委員長として、14日に行われた委員会での報告を行い、その後に全体での採決に向け質疑・討論が行われます。今回は報告のあとに江口議員から議案第104号の「修正案」が提出されました。その「修正案」の内容とその修正案に対する「賛成討論」「反対討論」をお伝えします。
それでは、実際のやりとりを御覧ください。
※ここからは飯塚市のホームページに掲載されている実際の議事録のご紹介となります。
【経済建設委員会委員長】
「議案第104号 令和3年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)」については、執行部から補正予算書等に基づき補足説明を受け、審査いたしました。

まず、本会議において審査要望のありました、水道施設運転管理及び料金収納等業務委託料の債務負担行為の限度額が、前回の5年業務委託を今回の10年業務委託に換算して比較すると増額となっている理由は何かということについては、今回から新たに業務を追加したことや、水道施設維持管理等業務委託積算要領や見積りに基づき積算した人件費や電算システム等の経費が5年前と比較して上昇したため、増額となっているという答弁であります。
次に、今回の債務負担行為は長期継続契約に当たらないのかということについては、長期継続契約は議会の議決を経ずに、予算に定めることもなく締結できるものであり、今回は予算の債務負担行為として、議会の議決を経た後に契約するため、長期継続契約には当たらないという答弁であります。
次に、委員会における質疑応答の主なものとして、水道施設運転管理及び料金収納等業務委託の委託期間を10年としたのは、どのような理由なのかということについては、今回から新たに追加した業務は技術的なノウハウの蓄積による経験が求められるため、企業局職員からの技術を継承し、マニュアル化を行うことで、安定した質の高いサービスを継続して提供ができること。また、経費の面では、5年間で契約をした場合、次の業務委託に移行する際に発生する約4千万円の初期投資費用を軽減することができるため、委託期間を10年間としたという答弁であります。
次に、水道施設運転管理及び料金収納等業務委託料は人件費や資材費の上昇等の理由から増額となっているとのことだが、水道料金改定に影響はないのかということについては、経営戦略策定時に試算した財政シミュレーションは、物価上昇等を織り込んで委託料を設定しており、水道料金には増額による影響はない。また、5年間で契約を終了した場合に発生する初期投資費用を抑えたことにより、経営安定につながるものと考えているという答弁であります。
次に、国は原則5か年度以内とするとなっている債務負担行為について、地方自治体には期間の定めがないということだが、国が原則5か年度以内としている理由は何かということについては、長期間にわたる債務負担行為は財政需要等の変化に対応できず、財政の硬直化を招くおそれがあることが理由ではないかと考えているという答弁であります。
この答弁を受け、国に準じて、多くの自治体が債務負担行為の期間を5か年度以内としているのに、技術的な面や経費面の理由から、5か年度より長期間とすることは考えられないのではないかという意見が出されました。
次に、水道施設運転管理及び料金収納等業務は技術的な面で経験が求められるということだが、次回の委託で、今回とは別の企業が受託した場合は、どのように考えているのかということについては、委託先が変わった場合は、前回の委託先の技術員をできるだけ次回の委託先に雇用していただきたいと考えているという答弁であります。
次に、10年間という長期間の委託となるが、どのようなリスクマネジメントを行っていくのかということについては、モニタリングを導入し、事業者の運営状況及び運営管理の確認を行いながら、重大な過失などが判明したときには契約解除ができるよう契約書や仕様書を作成していくという答弁であります。
次に、令和3年3月の上下水道事業経営審議会の答申では、水道料金算定期間は、経済情勢等の変化に対応できるよう、5年を目途に定期的な見直しを行うことが妥当であるということだが、今回の委託は、経済情勢や制度、技術等の変化にどのような対応を行っていくのかということについては、モニタリングにより、改善点があった場合は債務負担行為限度額の範囲で柔軟に対応するという答弁であります。
以上のような審査の後、採決を行った結果、本案については、賛成多数で、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
【議長】
「議案第104号」に対して、12番 江口 徹議員ほか2名から修正の動議が提出され、所定の発議者がありますので動議は成立いたしました。提出者の説明を求めます。
12番 江口徹議員。

【江口徹】
「議案第104号 令和3年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)」に対する修正案の提案理由を説明いたします。
修正案の2ページ、「令和3年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)修正に関する説明書」をご覧ください。本修正案は、「令和3年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)」、第5条にある飯塚市水道施設運転管理及び料金収納等業務委託料に関する令和3年度から令和14年度までの限度額65億5113万8千円を限度額とする債務負担行為を削り、第6条と第7条を1条ずつ繰り上げるものです。
本来、国も地方自治体も単年度主義、会計年度独立の原則をとっていますが、その例外として債務負担行為があります。この債務負担行為等とは、一般家庭に例えると複数年のローンに当たります。議会や国会で債務負担行為を議決するということは、国や市が複数年のローンを組むことを認めるものと言い換えることできます。この債務負担行為、国や市が行う複数年のローンが、あくまで例外である理由の1つは、後年度、つまり先々への財政影響です。長期間にわたり、国による債務負担を認めてしまうと、その後の財政需要等の変化に対応できず、財政の硬直化を招くおそれがあるとの考え方があるからだと言われています。ローンという性格上、組めば組むほど将来のお金の使い道が決まってしまう。すると突然失業した、車が故障したからといっても、余裕がなく困ってしまう。戦前はそういったことが多かったことから、その反省を踏まえ、国は5年以内を原則としています。
また、この会計年度独立の原則について、福岡市の財政調整課長を務められ、「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」という本の著者である今村寛さんは、次のように述べておられます。会計年度独立の原則は、憲法第83条から第86条に定める財政民主主義の思想を具現化したものだと私は捉えています。財政民主主義とは、国家が財政活動、支出や課税を行う際は、国民の代表で構成される国会での議決が必要であるという考え方で、これに基づいて、国及び地方自治体は単年度予算主義を採用し、年度ごとに国民、市民から徴収する税金の額とその使途を国民、市民の代表に問いかけ、賛同を得ているのです。債務負担行為や繰り越しなど、年度を超えて支出することをあらかじめ決定することが例外とされているのは、将来の国民、市民の持つ予算編成権に対する越権侵害行為となるからであり、別に詳しく述べますが、将来にわたって負債を負う、借金の使途が限定的なこともこの考え方に基づいているのです。
私たちには、自分たちへの行政サービスのために、過去の資産を食い潰す権利も、将来の市民が納める税金を先食いする権利も、将来の市民が納める税金の使い道を決める権利もありません。例外として、債務負担行為を行うにしても、明らかにそちらのほうがメリットがあるというものではなくてはなりませんし、私たち議会はそのメリットをしっかり説明してもらい、納得した上で議決しなくてはなりません。
この財政硬直化のおそれと財政民主主義の空洞化を防ぐために、国の国庫債務負担行為は原則5年であり、国が5年を超える長期の債務負担行為を認めているケースの多くは、建物を建てて運営を任せる、PFIの案件、例えば山口県美祢市にあるセコムなどの企業グループが造った刑務所、美祢社会復帰促進センターの運営といったものとなっています。
水道事業にあっても、全国の自治体の債務負担行為も5年以内がほとんどとなっており、委員会審議の際に、上野議員の「5年以下のところと5年を超えるところのそれぞれの自治体数は幾つと幾つですか」という質問に対し、答弁は「5年を超えるところはもう僅かではあります。数は4とか、そこら辺の数にはなっております」ということであり、全国的に見て例外であることが分かっています。そして、上野議員の「今まで5年で委託を継続されてきているのですが、困ったことが何かあったのですか」との質問に対する答弁も、「特に問題があったということではありません」ということでした。
また市は、10年間の長期契約のメリットについて、今回新たに追加する水道管路関連業務は、市内の地理、配管状況に精通する必要があり、特に現場での実務は多岐にわたるため、ノウハウの蓄積による経験が求められる、また5年ごとに要する初期投資費用4千万円を軽減できるとされていますが、鯉川議員の質問により、市職員も人事異動の中で習熟していること。さらには、前回の委託業者データベースから、現在の委託業者ケイ・イー・エス第一環境共同企業体に変わったときも、働いていた方々で継続して雇用を希望された方は、全員雇用されたということが確認されており理由になりません。
またこの点は、上野議員の習熟度が必要という話がありましたが、10年後にまた同じ業者が取るという保証はないわけなのですが、「10年後はどのようにお考えですか」との質問に対する答弁が、「できれば次に受けられる業者さんに引き継いでやっていただければ助かります」というものであったことから、企業局のほうも会社が変わっても、継続雇用がなされることを期待していることが明白であり、理由にならないことが重ねて証明されています。
また、初期投資費用4千万円が軽減されると言いますが全体の費用が、現在の契約が5年、19億3千万円であるのに対し、10年での債務負担上限額が65億5千万円、伸び率にして3.4倍と大きく伸びており、その理由として人件費や物価の上昇などで委託料が増額となるという説明がありました。しかし、3.4倍もの伸びとなった10年間の委託の設計金額は適切なのでしょうか。10年後までを見込むとなると、会社側も何かあったらいけないので、余裕を多めに見て見積りするでしょう。そうなると市が委託料を払い過ぎるおそれがあります。
また、前回の公募の際に、飯塚市の債務負担限度額が23億円だったのに対し、取った契約は19億円。率にして81%と、市と民間の算定には大きな差があります。5年でこれだけ差があるのに10年だったら、どれだけ大きくなるのでしょうか。
また、技術や制度を見ていると、その移り変わり、変化は非常に速いと、皆さんも感じておられることでしょう。その中で5年先、10年先の技術、制度について十分見通すことができるのでしょうか。技術、制度についての見通しが難しいのであれば、適切な内容、適切な金額で委託するには10年は長い。国や他の自治体はそう考え、5年以内の契約としているのではないでしょうか。現に今、隣の直方市では、3年で2億6千万円を限度額にプロポーザルの公募をやっています。
また、光根議員からは、「水道料金の値上げの際に上下水道経営審議会から、今回の料金算定期間は令和4年度から8年度までの5年間とし、以降を経済情勢等の変化に対応できるよう、5年をめどに定期的に見直しを行うことが妥当であると答申がありましたけれども、今後は5年ごとに見直しを行うという答弁がありました。ならば委託も値上げ同様、経済情勢等の変化や、また制度や技術の変化に対応できるような、5年ごとの見直しを考えるべきではないかと思いますけれども、これに対してどうお考えですか」との質問があっており、「その指摘どおりであると考えます」、さらに、光根議員の「この債務負担の10年の延長についても、当然審議会で審議されるべきものと考えますけれども、この審議の結果はどのようになっていますか」との質疑に対しての答弁は、「経営審議会には、特に諮ってはおりません」というものであり、ここでも検討不足は明らかです。
費用が軽減されるから長期間の契約を行う。費用が軽減されるから複数の業務を一本で発注する。そういったことを認めるならば、市役所の全ての仕事を同様に10年、20年に延ばし、また保守点検も全て一括発注にすればよい。しかし、それは先ほど言った財政民主主義を侵すものです。市が市内業者を育成するために、公共工事や物品購入について、分離分割発注を原則としていることと反するものです。
また、考えなくてはならないのはこの仕事を市外業者に取られているということです。この上限額65億円の委託を次に受注する会社も、まず市外業者でしょう。現に1回目は北海道の会社、2回目は北九州と東京の会社です。職員の多くは、飯塚や周辺に住まれることでしょうが、その利益は市外に流出してしまいます。この委託業務を追加してここまで大きくなっていますが、果たしてこれが正しい形なのでしょうか。
上野議員の指摘にあったように、新しく追加になって習熟が必要な水道管路の維持管理については、三セクをつくることもあり得るでしょうし、地元業者でもできるのではないでしょうか。市の仕事の発注の方針である分離分割発注を行い、料金収納とシステム構築と浄水場の運転管理を別々に出したら、市内の業者が取れる仕事になるかもしれません。そうすると利益も市内で循環します。市内の活力になります。そういった市内業者の育成の観点を含め、今まで述べてきた理由から今回の10年、65億円の債務負担行為は認めることはできません。
これから先は、直接の議案ではありませんが、企業局には改めて今言ったような点などを含めて再検討した上で、3月議会に5年の債務負担行為として、できれば複数の業務に分割して再提案していただきたい。地元業者が受注できるように、次回は無理でも5年後に向けて頑張ろうと動けるような提案をしていただきたいと述べて、長くなりましたが提案理由の説明といたします。
皆様の賛同をいただきますようお願いいたします。
【議長】
説明が終わりましたので、「議案第104号」について委員長報告並びに修正案に対する質疑を許します。質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
「議案第104号」についての委員長報告並びに修正案に対する質疑を終結いたします。「議案第104号」並びに「修正案」に対する討論を許します。討論はありませんか。8番 川上直喜議員。

【川上直喜】
私は、「議案第104号」原案に反対、ただいまの修正案に賛成の立場で討論を行います。
「2021年度 飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)」及び委託事業者選定委員会の設置については一体のものであります。次期、民間委託に当たって委託する仕事を増やし、契約期間をこれまでの2倍、10年間とし、契約金額を約65億5千万円まで認めるのが、今回補正予算書の6ページにある第5条、債務負担行為、飯塚市水道施設運転管理及び料金収納等業務委託料、令和3年度から令和14年度まで、正確には65億5113万8千円であります。